空気
少しずつかわってはいたのだろうけれどひとつの節目を迎えたように今までとは違う空気が流れている。
不純物は取り除かれしんとした静けさがあり、どこか瑞々しく滑らかでしかしながら少しの重さを感じる。
風は母が子にそっと触れるときのような優しさで撫でて行くけれど、そこには冷たい突き放されたような感覚も覚える。
人の声は大きく響き、色は自ら主張している。
わたしはこの夏と秋の境目がとても好きだ、あんなにも鬱陶しいほどに暑く全てがギラギラと輝きを放っていたのに、急に、ふと、裏切るかのように夏は去って行ってしまう。
チャイムが響く夕暮れの下、手を振って背中を見守るいつかの風景を思い出す。
夏はわたしの中で燃え続けていくのだ。