白水

朝の空気は白い

りんごをかじる音がいちばんいい音

何もしない時間の間、世界に吸い込まれているそうだ

 

人間はしゃべらないと死んでしまう

小鳥は鳴かないと子供を産めない

植物は光を争うそうだ

 

存在はみな反射の揺らめきで

わたしたちはいまここではないどこかへ連れていかれてるそうだ

 

庭が広い家にツバメはやってきて、

あったかいところへいくんだろ、

その場所にわたしを連れてってくれよ

 

まいにちまいにち、こんなにつまらないのに

どうして平気で一年が経つんだ

 

わたしはどうなっていくんだ、どうして自分のことを自分でしか助けられないんだ

力を貸してくれよ、助けてくれよ

 

一生自分の機嫌取りで欲を満たして生きていくんだな、たのしいとはなんだろうか、小鳥の声だけを聞いていたいのに、欲なんていらないのに

 

小鳥の声だけが世界の声で

わたしたちなんかとっくにいなくて

全部余韻で、全部嘘だったらいいのに